「がれきのえほん」展にむけて
「がれきのえほん」展にむけて
まつむら よしこ
がれきの広域処理は、被災地を助ける復興支援ではありません。
ゼネコンや産廃業者の利権獲得と、実質的には東電の支援になるだけです。全国に汚染を拡げることで被害の特定を困難にし、東電の賠償責任をうやむやにしてしまいます。それだけでなく、行き場のない溜まりにたまった核廃棄物を一般廃棄物と同じように処理する為の詭弁でしかありません。
これ以上核廃棄物が増えると原発は動かせません。しかし、100ベクレル以下の低レベル廃棄物を普通の一般ゴミに混ぜてどんどん燃やし、普通のゴミのように埋立て処分場に埋立てられれば、電力会社の頭の痛い問題はひとつ解決したことになるでしょう。
でも、考えてみてください。
100ベクレル/kg以下の低レベル核廃棄物は、311の事故前までは黄色いドラム缶に入れて密閉し、遮蔽して管理しなければいけない危険な放射性廃棄物でした。管理区域内に厳重管理するのが、本来のやり方でした。それが、事故後制定された食品安全基準では100ベクレル/kg以下は食べてもよいことになり、災害廃棄物特措法により燃やしてもよい事になってしまいました。
いつの間に、放射能は大丈夫になったのでしょう?
原発の安全神話が崩壊しても、今度は放射能安全神話が新たに生まれたにすぎません。このことを許せば、なし崩し的に日本列島全体が核廃棄物の最終処分場になってしまうんじゃないか。そう思ったのが、ガレキ問題に興味を持ったきっかけでした。
世界中の焼却炉の70%以上がこの狭い日本にあるそうです。放射性物質は燃やしてもなくなりません。濃縮し、更に危険な物質になるだけです。物質は小さければ小さいほど人体にとって危険です。体内の奥の奥まで入り込みやすくなるからです。放射性物質は、燃やしても水に流しても、なくなりません。
焼却すれば希ガス化した放射性物質が更に微細な微粒子になって、煙突から、排水から、環境中に拡散されます。一度拡散すれば、回収は不可能で、空気中に浮遊し雨となり地下水となり生物内に濃縮され食物連鎖の中で、永遠に蓄積しながら循環し続けてしまいます。ちょっとくらい・・・そう思っていらっしゃる方がいたら大間違いです。
放射性物質は拡散してはいけないのです。回収して封じ込めるしかありません。がれきは大阪でも被災地でも、どこででも燃やしてはいけないのです。
じゃあどうしたらいいの?
と思っていたとき、世界的な
生態学者である宮脇昭横浜
国大名誉教授の提案する
「いのちを守る森の防潮堤」を知りました。
津波の被害に遭った太平洋沿岸地域300kmにわたって、ガレキを使って山を作り、そこに深根性で直根性の日本古来の鎮守の森の木、いろいろな常緑広葉樹を密植し、いのちを守る森の防潮堤を作ろう!というものでした。それは、東北を津波から守る本当の復興になるに違いない。実際に今回の津波でもタブやシイ等の常緑広葉樹のあったところは、森に守られました。私はこれしかない!と確信しました。
そして、とにかくこの事をいろいろな人に知ってもらいたいと思い、私にできる事はなにか?と考え、「がれきのえほん」を作りました。
がれきはゴミではありません。元々は被災地の風景や生活や財産すべてを形作っていた、被災地そのものです。その場にそのまま埋めて、被災地の未来を守る森になることが亡くなられた魂の鎮魂と希望になるだろう。こんなにいい案きっと実現する。私が声を荒げないでも賢い人がちゃあんとやってくれはる。そう思っていました。でも、現実は違いました。
宮城県議会では、自民党から共産党まで超党派全員一致で、このいのちを守る森の防潮堤案を可決し、予算も通っています。なのに実現しません。県が渋るから。南相馬の市長はいのちを守る森の防潮堤を作るためがれきを受入れたいと環境省に申し出ましたが、断られました。
岩手県大槌町では、行政が動かないから、企業がお金を出して実験的に小規模な森の防潮堤「千年の杜」プロジェクトを始めています。こんな状況です。
被災地が望んでいるのに、どうして進まないのでしょう?いのちを守る森の防潮堤にすれば、あっという間に全部処理できて、手間もお金もかからないそうです。最初の2~3年少し手を入れれば後は、自然が森を育ててくれ、次の氷河期が来る千年先まで、津波からいのちを守る天然の防潮堤に育っていってくれ、修理補修にコストもかかりません。
それなのに、政府や自治体は、森の防潮堤より広域処理がどうしてもやりたいみたいです。利権が絡んでいるからでしょうか?復興予算は被災地の為に使うのが、支援です。お金が目的なら、それは横取りです。今話題になっている被災地の復興予算が被災地の為に使われず、関係ない事に使われていると非難されていますが、このがれきの広域処理も、同じ事です。
お金の為なら何でもやる。がれき広域処理の正体です。そして、ええことやったら勝手に実現するやろ。私には関係ない。と思っている無関心が、新たな放射能安全神話をささえているのです。
311以前の世界なら、ややこしい事はスルーしてとらわれず、しなやかに無視して、自分の夢を追いかける生き方もできました。でも、世界は一変してしまいました。日本は放射能汚染国になってしまいました。私たちは、いのちを守る事を最優先にしなければ生きていけない世界に放り出されてしまったのです。
もうすぐ、大阪の舞洲工場で2月から、岩手県のがれきの焼却が始まります。36万トンを2年間24時間フル稼働で燃やし続けるそうです。最後の最後まで諦めず、声を上げていこうと思います。
いのちのために。
まつむら よしこ
がれきの広域処理は、被災地を助ける復興支援ではありません。
ゼネコンや産廃業者の利権獲得と、実質的には東電の支援になるだけです。全国に汚染を拡げることで被害の特定を困難にし、東電の賠償責任をうやむやにしてしまいます。それだけでなく、行き場のない溜まりにたまった核廃棄物を一般廃棄物と同じように処理する為の詭弁でしかありません。
これ以上核廃棄物が増えると原発は動かせません。しかし、100ベクレル以下の低レベル廃棄物を普通の一般ゴミに混ぜてどんどん燃やし、普通のゴミのように埋立て処分場に埋立てられれば、電力会社の頭の痛い問題はひとつ解決したことになるでしょう。
でも、考えてみてください。
100ベクレル/kg以下の低レベル核廃棄物は、311の事故前までは黄色いドラム缶に入れて密閉し、遮蔽して管理しなければいけない危険な放射性廃棄物でした。管理区域内に厳重管理するのが、本来のやり方でした。それが、事故後制定された食品安全基準では100ベクレル/kg以下は食べてもよいことになり、災害廃棄物特措法により燃やしてもよい事になってしまいました。
いつの間に、放射能は大丈夫になったのでしょう?
原発の安全神話が崩壊しても、今度は放射能安全神話が新たに生まれたにすぎません。このことを許せば、なし崩し的に日本列島全体が核廃棄物の最終処分場になってしまうんじゃないか。そう思ったのが、ガレキ問題に興味を持ったきっかけでした。
世界中の焼却炉の70%以上がこの狭い日本にあるそうです。放射性物質は燃やしてもなくなりません。濃縮し、更に危険な物質になるだけです。物質は小さければ小さいほど人体にとって危険です。体内の奥の奥まで入り込みやすくなるからです。放射性物質は、燃やしても水に流しても、なくなりません。
焼却すれば希ガス化した放射性物質が更に微細な微粒子になって、煙突から、排水から、環境中に拡散されます。一度拡散すれば、回収は不可能で、空気中に浮遊し雨となり地下水となり生物内に濃縮され食物連鎖の中で、永遠に蓄積しながら循環し続けてしまいます。ちょっとくらい・・・そう思っていらっしゃる方がいたら大間違いです。
放射性物質は拡散してはいけないのです。回収して封じ込めるしかありません。がれきは大阪でも被災地でも、どこででも燃やしてはいけないのです。
じゃあどうしたらいいの?
と思っていたとき、世界的な
生態学者である宮脇昭横浜
国大名誉教授の提案する
「いのちを守る森の防潮堤」を知りました。
津波の被害に遭った太平洋沿岸地域300kmにわたって、ガレキを使って山を作り、そこに深根性で直根性の日本古来の鎮守の森の木、いろいろな常緑広葉樹を密植し、いのちを守る森の防潮堤を作ろう!というものでした。それは、東北を津波から守る本当の復興になるに違いない。実際に今回の津波でもタブやシイ等の常緑広葉樹のあったところは、森に守られました。私はこれしかない!と確信しました。
そして、とにかくこの事をいろいろな人に知ってもらいたいと思い、私にできる事はなにか?と考え、「がれきのえほん」を作りました。
がれきはゴミではありません。元々は被災地の風景や生活や財産すべてを形作っていた、被災地そのものです。その場にそのまま埋めて、被災地の未来を守る森になることが亡くなられた魂の鎮魂と希望になるだろう。こんなにいい案きっと実現する。私が声を荒げないでも賢い人がちゃあんとやってくれはる。そう思っていました。でも、現実は違いました。
宮城県議会では、自民党から共産党まで超党派全員一致で、このいのちを守る森の防潮堤案を可決し、予算も通っています。なのに実現しません。県が渋るから。南相馬の市長はいのちを守る森の防潮堤を作るためがれきを受入れたいと環境省に申し出ましたが、断られました。
岩手県大槌町では、行政が動かないから、企業がお金を出して実験的に小規模な森の防潮堤「千年の杜」プロジェクトを始めています。こんな状況です。
被災地が望んでいるのに、どうして進まないのでしょう?いのちを守る森の防潮堤にすれば、あっという間に全部処理できて、手間もお金もかからないそうです。最初の2~3年少し手を入れれば後は、自然が森を育ててくれ、次の氷河期が来る千年先まで、津波からいのちを守る天然の防潮堤に育っていってくれ、修理補修にコストもかかりません。
それなのに、政府や自治体は、森の防潮堤より広域処理がどうしてもやりたいみたいです。利権が絡んでいるからでしょうか?復興予算は被災地の為に使うのが、支援です。お金が目的なら、それは横取りです。今話題になっている被災地の復興予算が被災地の為に使われず、関係ない事に使われていると非難されていますが、このがれきの広域処理も、同じ事です。
お金の為なら何でもやる。がれき広域処理の正体です。そして、ええことやったら勝手に実現するやろ。私には関係ない。と思っている無関心が、新たな放射能安全神話をささえているのです。
311以前の世界なら、ややこしい事はスルーしてとらわれず、しなやかに無視して、自分の夢を追いかける生き方もできました。でも、世界は一変してしまいました。日本は放射能汚染国になってしまいました。私たちは、いのちを守る事を最優先にしなければ生きていけない世界に放り出されてしまったのです。
もうすぐ、大阪の舞洲工場で2月から、岩手県のがれきの焼却が始まります。36万トンを2年間24時間フル稼働で燃やし続けるそうです。最後の最後まで諦めず、声を上げていこうと思います。
いのちのために。